綾里様のサイト「銀の月が満ちる夜」との相互記念に頂いた作品です☆
色々とお悩み頂いたようですが、結果かわいいしぐさの亜美ちゃんが見れて大満足でございますO(≧▽≦)O
そして大気さんもかわいいです♪
初めのころは大気さんも緊張してたんですねw
無邪気にはしゃぐ亜美ちゃんは、大気さんじゃなくてもイチコロです(*´∇`*)
水槽に囲まれた二人…イメージがどんどん湧いてきます(^人^)
素敵な記念作品をありがとうございました☆
一生大切に致しますv(≧∇≦)v
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!こちらの作品の転載は厳禁です!
「水のラビリンス」 written by綾里様
「こんばんは、亜美さん」
『こんばんは、大気さん。お疲れ様です』
「ありがとうございます」
大気たちが地球に戻ってから一週間。
彼らは“スリーライツ再活動”に向けての準備で忙しい。
さらに、あと少しで学校の方も始まる為になおさら慌ただしい。
『復帰準備の方は順調ですか?』
「えぇ、9月に入ってから復帰会見を開くことになります」
『そうですか。忙しくなりますね』
「そうですね」
『あ……っ』
亜美が何かを言いかけて躊躇った。
「どうしました?」
『…えっと……あまり、無理はしないでください』
心配そうにそう言う亜美に大気は笑みを浮かべた。。
「はい。ありがとうございます。大丈夫ですよ」
なにしろ、以前火球プリンセスを探していた時とは事情が違う。
「亜美さん」
『はい?』
「突然なんですが、明後日は何か予定はありますか?」
『明後日ですか?いえ、特に何もありません』
「では、お時間戴けますか?」
『え?』
「デートしましょう」
『…でー...と?』
亜美がまるではじめて聞く単語を繰り返すように呟いたため、大気はくすりと微笑んだ。
本当は亜美の顔を見て告げたかったのだが、遅くなったため訪問する事を躊躇い、電話で告げたのだが…
亜美の反応と戸惑いが可愛くて、大気はその判断をした事を少し悔やんだ。
「はい、デートです」
『えっ///』
「いやですか?」
『いえっ!……っ/// 嬉しい...ですっ///』
「真っ赤、ですね?」
『そ、そんな事ないですっ///』
電話越しでも赤くなっている事が分かってしまう亜美の反応が可愛い。
電話越しに楽しそうにくすくすと笑う大気の声に亜美の鼓動はトクンと速くなった。
「っ///」
『では、亜美さん。
明後日の朝九時にマンションの下にお迎えにあがります。いいですか?』
「は、はい///」
『では明後日に。
場所は───亜美さんを連れて行きたい所があるんですが、当日まで秘密でもいいですか?』
「え?あ、はい///」
『良かった。楽しみにしてますね』
「あ、あたしも楽しみにしてます///」
『はい。では、おやすみなさい、亜美さん』
「おやすみなさい。大気さん。ゆっくり休んでください」
『ありがとう。亜美さんも』
「はい///」
電話を切った亜美はゆっくりと息をはいた。
『デートしましょう』
大気と付き合い始めて一週間が経った。
地球に帰ってきた次の日に火川神社で星野と夜天とも再会し、そこで星野がうさぎと付き合い始めた事、大気が自分達が付き合い始めた事を話した。
ただ、次の日から大気たちは復帰準備などで忙しく、帰ってきた日以来、二人きりの時間を取れずにいた。
しかし、大気は忙しい合間を見つけては、毎日電話やメールをくれている。
電話で聴く大気の声が、いつもより少し違って聞こえる事にドキドキしているなんて、恥ずかしくて誰にも言っていない。
亜美は改めて、本当に大気と付き合っているんだと実感する。
(デート……って…どうしたらいいの?)
今まで誰よりも“恋愛”とは遠いところにいた為、分からない事だらけだ。
───デート当日
いつもと同じように朝六時に起き、お風呂に入りながら参考書に目を通すが、いつもと違って数学の公式も英単語も頭に入ってこない。
「はぁっ…」
亜美は勉強を諦めてゆっくりとお風呂に入る事にした。
軽めの朝食を摂り、着替えを済ませる。
「変、じゃない…よね?」
着替えを済ませた亜美は鏡の前に立って自分の姿を確認する。
昨日の勉強会の時、みんなに大気がどこに連れて行ってくれるかは分からないけれど服装をどうしたらいいのかを相談した。
『おぉっ…』
『どしたの?美奈子ちゃん?』
『亜美ちゃんが…っ、あの恋に超奥手だった亜美ちゃんがっ…ついにっ』
なぜか美奈子が瞳を潤ませていた。
『言いたいことは分かるんだけど…美奈子ちゃんそれを言うのは野暮ってもんだよ?』
『そうよ』
『あ、あの///』
みんなの様子に亜美は慌てた。
何か変な事を聞いてしまったのだろうか?
『そう言う事ならまかせて!みんな行くわよ!』
『『『どこに?』』』
『決まってるでしょ!亜美ちゃんち!どんな服を持ってるかチェックよ!』 <br>
『えっ?』
『ほらほら、早く~♪』
美奈子は亜美の手を引き我先にと駈け出した。
『いやーん。亜美ちゃんたら可愛いの持ってるじゃない♪』
『え?///』
『あ、この服初めて見る!可愛い~♪』
『それはこの間ママが買ってくれて』
『おぉっ、ミニスカート発見!』
『そ、それはあたしが選んだわけじゃ///』
『あ、亜美ちゃんこれは?』
『え?』
『あ、そのワンピかわいい♪着てみなよ』
『う、うん///』
言われるままに白いノースリーブのワンピースに着替えた亜美。
白いワンピースは清楚な雰囲気の亜美にとても似合っていた。
普段あまり露出をしない亜美がノースリーブを着ているというのもなかなか珍しい。
『へ、へん?』
黙ってしまった四人を見て不安そうに聞いた。
『ううん。すっごく可愛い!』
『うん。ホントによく似合ってるわ』
『それに一枚なにか羽織れば充分だよ』
『亜美ちゃんサンダルとかあるかい?』
あれこれとコーディネートされ、デートの服が決まった。
『さすが美奈子ちゃんね』
『ホントだよ…こういう事させたら、あたし達の中じゃ一番だもんね』
『こんな可愛い子が海とかにいたら、迷わず声かけちゃうよねぇ』
『そんな事になったら大気さん気が気じゃないね』
『でも、大気さんはどこに連れてってくれるのかな?』
『亜美ちゃんはどこ行きたい?大気さんとのは・つ・で・え・と♪』
『えっ///』
美奈子がにやりと笑って、真っ赤になった亜美をからかった。
『あ、あたしは///』
『うんうん』
『~っ/// 大気さんと一緒にいられるなら、どこでも//////』
耳まで真っ赤にしてうつむき小さく呟いた亜美にうさぎ達がキュンとなった。
『亜美ちゃんたらピュアっ娘さん///』
『ホント亜美ちゃんにはそのままでいて欲しいわ///』
『大気さんの反応が気になるわ///』
『亜美ちゃん』
『な、なぁに?///』
『明日、楽しんできてね』
うさぎがにこっと微笑んで言うと、レイやまこと、美奈子もうんうんと頷いた。
『えぇ/// ありがとうみんな///』
(き、緊張する…)
時間は八時半を少し回ったところだ。
亜美はソワソワとして落ち着かない。
本でも読んで時間を潰そうと思ったのだが、結局は内容が頭に入ってこなくて、諦めた。
(どうしよう…大気さんに会う前からこんなんじゃ今日一日身が持たない…)
───♪~♪~♪
「ひゃっ!」
静かな部屋に鳴り響いた自分の携帯の音に驚く。
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From:大気さん
Subject:おはようございます
今からこちらを出るので15分くらいで着くと思います。
着いたら電話しますね。
-END-
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メールを送信した大気は部屋を出る。
「ん?あれ?大気どっか行くのか?」
「えぇ、ちょっと」
どこか緊張したような大気に星野は「あぁ、そっか」と、何かに気付いたようで、ニヤリと笑う。
「……なんですか?」
「いや、頑張れよ~♪水野と初デート♪」
「…っ、言われなくても頑張りますよ…では、行ってきます」
「おぉ、いってこい。楽しんでこいよ~」
ひらひらと手を振りリビングで星野は大気を見送る。
玄関のドアが閉まる音が聞こえたすぐあとに、夜天が眠そうにしながら起きてきた。
「おはよう。夜天」
「……ハヨ…誰か出て行かなかった?」
「あぁ、大気だよ」
「ふーん…」
「興味なさそうだな?」
「いや、あの大気が女の子とデートって、今までの事を考えるとホントに想像出来ないなぁとは思ってる」
「あー、まぁ…な」
「でも、水野もそうみたいだけどね」
「どういう事だ?」
「昨日の夜、電話で美奈が騒いでたから」
「なんて?」
「……」
『あの超奥手の亜美ちゃんがデートに行く服で悩むなんてっ!あたしは嬉しいわ夜天君!』
「うん…なんか…こう、子どもの成長を喜ぶ親…みたいな?」
「は?なんだそりゃ?」
「さぁ?」
「まぁ、いいけどさ…。つーか休みなのに珍しく早起きだな?」
「うん?あぁ、僕も出かけるから」
「そうなのか?」
「星野は早速月野にふられた?」
夜天がいたずらっ子のようにくすりと笑う。
「なっ!おまっ…ちげーよ!!」
「へぇ?」
「俺は今日はおだんごの家に行くんだよ!」
「あっそ」
「聞いたのにキョーミねーのかぁぁぁっ!」
「星野は帰ってきてから毎日“おだんごおだんご”ってうるさい」
「なんだとぉっ!」
ぎゃあぎゃあと不毛な争いをする二人を止める者はいない。
車を運転しながら亜美のマンションに向かう車の中で大気は緊張していた。
(亜美さん喜んでくれるでしょうか?)
大気がデートに選んだ場所は、以前地球にいた時にドラマの撮影で行った“ある所”だった。
その頃にはもうお互いの正体も知っていて、プリンセスが見つからずやきもきしていた頃だった。
そんな中、訪れた“そこ”で、大気は気持ちが少し落ち着いた事。
そして、その瞬間に亜美の顔が浮かんだ事。
大気は二重の意味で驚いたのだ。
亜美を意識しているのだと否が応でも自覚したのはその時だった。
(まさか夜天に見破られていたとは思いませんでしたが…)
マンションの下に着いた大気は携帯を取り出すと亜美に連絡を入れる。
『もしもし?』
「お迎えにあがりました」
『はい。すぐに降ります』
「慌てなくていいですよ」
大気は電話を切り、車から降り亜美の到着を待つ。
亜美は水色のカーディガンを羽織り、お気に入りのかごバッグと合わせた色合いのサンダルを履いて家を出る。
一階に着いたエレベーターから降りた亜美はゆっくりと深呼吸をして、マンションの自動ドアをくぐった。 <br>
「おはようございます、亜美さん」
そこには爽やかな笑顔で微笑む大気がいて、亜美の心臓の音がうるさくなる。
「お、おはようございます///」
ほんのり頬を染めながら挨拶を返す亜美にくすりと笑うと大気は助手席に彼女をエスコートする。
「では、行きましょうか?」
「はいっ///」
車を走らせた大気は信号待ちで、隣の亜美をちらりと見つめる。
(可愛い)
出てきた瞬間に亜美の格好に本能的に抱きしめそうになった事は彼女には言えない。
大気の視線に気付いたのか、亜美の青い瞳と視線がぶつかり大気はドキリとする。
「大気さん?」
「え?」
「信号変わってますよ?」
「あ、すみません…」
まさか「亜美さんに見惚れていました」なんて言えるわけもなく大気は車を発進させた。
一時間半ほど車を走らせ目的地へと到着する。
【アクアミュージアム】
大気が“初デート”に選んだ場所は俗に言う『水族館』だった。
亜美がキョロキョロと周りを見回す。
その子どものような仕種に大気はくすりと微笑む。
「行きましょう」
大気が微笑みながら言うと亜美は真っ赤になってこくんと頷く。
「はい///」
中に入ると、通路がトンネル状になっていて、通路の周りすべてが水槽となっていた。
まさに“水の中”にいるかのような感覚に襲われる。
「わぁっ♪」
亜美がキラキラと瞳を輝かせる。
その様子を見て、大気は心底ホッとした。
「あ!」
亜美は何かを見つけたのかバッグから携帯を取り出して構える。
「?」
何を撮ろうとしているのかと亜美が携帯を向けた方を見る。
「…エイ?」
そこにはヒラヒラと泳いでいる大きなエイの姿があった。
亜美は真剣な眼差しでシャッターを押した。
「亜美さん?」
「大気さん見て下さい。笑ってるみたいです」
そう言って無邪気な笑顔で撮ったばかりの画像を大気に見せる。
「っ///」
大気はそんな亜美の無邪気さに思わず赤くなる。
「大気さん?」
何も言わない大気を不思議そうに見上げる。
「す、すみません。亜美さんはエイがお好きなんですか?」
「えーっと…なんて言うか好きって言うか」
んーっと考える仕種を見せる。
「笑ってるみたいに見えるところが可愛いなぁって思うんです」
そう言ってふわりと笑う。
「なるほど」
大気は頷くと自分も携帯を取り出し、エイの撮影を試みたが、なかなかうまく撮れなかった。
「うーん…なかなか難しいですね」
本気で悔しそうな大気に亜美はくすくすと笑う。
それから色々なブースを見て回った。
亜美はどこでも楽しそうに無邪気に笑って、大気に微笑みかけた。
大気は今まで見たことのない亜美の無邪気さに愛しさを感じていた。
大人しく、引っ込み思案な印象が強かったが、子どものようにはしゃぐ亜美を見られたことに大気は大満足だった。
「亜美さんお昼からイルカショーがあるみたいですよ。行きませんか?」
休憩とランチを兼ねてカフェに入った二人。
パンフレットを見ていた大気が言うと、亜美はパァッと表情を輝かせる。
「行きたいです!」
「分かりました」
目の前でホットケーキをもぐもぐと食べている亜美を優しく見つめる。
「?」
「おいしいですか?」
「はいっ♪」
お昼からイルカショーを楽しむ。
楽しそうにショーを見ている亜美を愛おしげに見つめる大気。
ショーが終わってから、再び館内を廻る。
<br>
館内一の大きさを誇る巨大水槽にはたくさんの海中生物が悠々と泳いでいる。
亜美はよほどそれが気に入ったのか、じっと眺めていた。
大気はそんな彼女と一緒に水槽の中を見つめる。
まるで海の中を泳いでいるかのような感覚に陥りそうだった。
大気はハッとして隣の亜美を見る。
亜美は真っ直ぐに水槽の中を見つめていて、大気の視線に気付かない。
亜美の青い瞳がゆらめき、まるでここにいないようなそんな感覚に襲われた大気は、思わず彼女の華奢な身体を抱きしめる。
「っ!?大気さん?///」
驚いたように大気を見上げる。
ギュッと力を強めて抱きしめられ、亜美は真っ赤になる。
「あ、あのっ///」
「すみません」
「え?」
「亜美さんが───海に攫われてしまうような気がして…」
大気の言葉に亜美は目をパチクリさせると、ふふっと笑う。
「あたしは───ここにいます」
そっと大気の背中に腕を回し、彼の広い背中をきゅっと抱きしめる。
「大気さんの傍にいます」
そう言ってふわりと笑う。
その笑顔に大気は安心したように微笑む。
「すみません」
「いえ/// あ、あの///」
大気の優しい笑顔に赤くなった亜美が恥ずかしそうにしているのを不思議そうに見下ろす。
「?」
「えっと/// は、離してください///」
亜美にそう言われ周りを見回すと、やたら注目されている。
反対を見ると、巨大水槽。
大気はしまったと思った。
いや、しかし、場所がここだったから自分はあんなに大胆な行動に出てしまったわけで…
「す、すみません!」
咄嗟に謝ることしか出来なかった。
「いえ///」
亜美は耳まで真っ赤になっている。
それから、館内全体を見て回った。
大気がふと時計を確認する。
「亜美さん、もうひとつお連れしたい場所があるんですが、いいですか?」
「はい」
水族館を後にし車に乗り込むと、車を走らせる。
「ここから少しだけ歩きますが、いいですか?」
「はい」
「亜美さん」
車から降りると大気は意を決して亜美を呼ぶ。
「はい///」
「すごく、今さらなんですが」
大気が言い淀むと亜美が不思議そうに見上げる。
「手を、繋いでもいいですか?」
大気がまるでダンスに誘うように、スッと手を差し出す。
「えっ///」
水族館で二人は隣り合って歩いているだけだった。
大気は手を繋ぎたいとは思っていたが、チャンスがなくてなかなか言い出せずにここまで来てしまった。
「あぅっ///」
亜美が差し出された大気の大きな手を見つめてあわあわと真っ赤になる。
そっと大気を見つめると、彼はとても優しく微笑んで自分を見つめていて、亜美はますます赤くなる。
───そして
「~っ///」
大気の手にそっと自分の手を重ねると、彼の手が優しく小さな手を握る。
「亜美さん、手小さいですね」
「えっ/// そうでしょうか?///」
亜美が繋いでいない方の自分の手を見つめる。
「小さいですよ。ほら」
大気が亜美の掌と自分の掌とを重ねる。
男性にしては綺麗な手だが、手のひらも大きくて指が長い。
亜美の手は大気の第二関節の真ん中くらいまでしかなく、握り拳を作ったら彼の手のひらにすっぽりと覆われてしまいそうだった。
「大気さんと比べたらほとんどの女の人は小さくなりませんか?」
「そうですか?」
「多分…ですけど」
「でも」
「はい?」
「私がこうして女性の方と」
「っ///」
大気が繋いだ手を一度ほどき、指を絡めるようにつなぎ直す。
「手を繋ぐのは亜美さんだけなので」
そう言う大気はいつもの大人びた表情ではなく、年相応の少年のような笑顔を見せた。
「~っ//////」
大気のはじめて見る笑顔に亜美の胸がきゅぅぅぅっとなる。
「亜美さん───可愛い」
今日一日で、大気が亜美に対して何度も何度も思っていた言葉が、彼の口から思わずこぼれる。
「なっ/// からかわないでください///」
「本気ですよ?」
くすくすと笑いながら大気がいたずらっ子のように言う。
「さ?行きましょう」
はじめて触れるお互いの手の温もりにドキドキしながら二人は歩く。
「着きましたよ」
「───わぁっ」
亜美は目の前に広がる光景に息を飲む。
真っ赤な夕陽が海にキラキラと反射しながら水平線に沈み始めたところだった。
大気は黙ってその光景を見つめる亜美をそっと後ろから優しく抱きしめる。
「っ/// 大気さん?///」
「お気に召しましたか?」
「はいっ/// とっても綺麗です/// ありがとうございます///」
「いえ、お礼を言うのは私の方です」
「え?」
「私が亜美さんと水族館に行きたかったんです」
「どうして、ですか?」
「前に地球にいた時に、先ほどの水族館に仕事で訪れた事があったんですが…
その時、水に包まれる空間で亜美さんの顔が浮かんだ時に気付いたんです。
私の中で貴女の存在がとても大きくなっていた事に…
もう、その時には私は亜美さんを“好き”になっていたんです」
「~///」
その言葉に亜美は真っ赤になる。
「だから、今日は亜美さんをあそこに連れて行きたかったんです」
耳元近くで聞こえる大気の声に亜美の鼓動がトクトクと早くなる。
「あ、ありがとうございます/// すごく楽しかったです///」
「それは良かったです。
おかげで今日は今まで知らなかった亜美さんを見る事が出来ました」
「え?」
亜美が驚いたように大気を見上げる。
「秘密ですよ」
大気はくすくすと笑い、亜美の頬にキスをする。
「っ///」
夕陽の朱の中でも、亜美が真っ赤になっている事が分かり、大気は愛しさがこみ上げる。
「亜美さん」
「はいっ///」
「また、一緒に来ましょうね?」
優しく微笑んで言うと、亜美がとびきりの笑顔を大気に見せた。
「はいっ♪」
そんな亜美に大気は今日何度目になるか分からないほど、どきりとした。
(今日だけでますます亜美さんを好きになりましたよ)
その日一日、大気はなるべく表には出さないように務めていたが、内心では亜美の無邪気な笑顔や仕種にドキドキしてばかりだった事は誰も知らない。
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