月琉様のサイト「流れ星へ…」との相互記念に頂いた作品です☆
何て切ない二人…胸が張り裂けそうです。
でもこの切ない感じがリアルで心に響くのです。
美奈子ちゃんがお好きな月琉様にこんな切ないお話をリクエストして申し訳ありませんでした(≧ヘ≦)
でもしらたきはとても満足しております!!!
わざわざお話を書いて頂きありがとうございました!
一生大切に致しますv(≧∇≦)v
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「星に願いを」 written by月琉様
─── ねぇ、今頃君は何をしてるの?
また泣いてるかな…
それとも、いつもうるさいあの子達と笑ってるのかな。
逢いたいな…
ねぇ、美奈…?
*
*
スリーライツが地球を発ち、故郷であるキンモク星に帰ってからもうすぐ一年が経過しようとしていた。
キンモク星の復興も落ち着き、また以前のようにあちらこちらで橙色の金木犀が花を咲かせるようになった。
「綺麗…そう言えば、この花の色もあの子の好きな色だったわね」
戦士としての仕事を終え、宮殿の外れにある金木犀が咲き誇る庭園に来ていた。
陽が落ちてからこの庭園で金木犀を見るのがいつの間にかヒーラーの黙過の日課になっている。
宮殿からの明かりと夜空に浮かぶような金木犀の花を見ていると、彼女が傍にいるような気がして心が休まるから…
勿論、寂しさも感じるけれど…それよりも今は彼女を傍に感じたい。
「ふふっ、いつからこんなにあの子が好きになったのかしら…ねぇ、"夜天"」
最初こそはやかましい美奈子を疎ましく思っていたヒーラーだが、"夜天" が彼女を好きになり、その想いが歯止めが効かない程大きくなってからは、自分も徐々に美奈子を認めていた。
寧ろ… "好き" だと言っても過言ではない程に。
だからこそ…夜天が彼女に会いたい気持ちが痛い程に分かる。
今まで、孤高の戦士と唄われてきたヒーラーは恋などしたことが無かったし、する必要も無かった。
"独り" でいいと思っていたのだ。
その方が気楽だから。
でも…地球で彼女に出逢って変わった。
"愛される" ことが、これほどまで心地良い物だと知ったのは彼女がいたから。
"愛する" ことが、どれだけ強い力を出せるか気付かせてくれたのは彼女だったから。
自分を人間らしくしてくれた…
かけがえのない 恋人 。
「…必ず、帰るなんて言ったけど…」
そんな先の口約束、彼女は覚えていてくれるだろうか。
自分は戦士だ。
このキンモク星を、皇女を護る戦士の育成だってしなければならない。
復興が終わっても、やることは山のように残ってる。
それだけでも何年かかるか分からない途方もない約束…
「でも…もしかしたらあの子なら…」
美奈子を思ったその瞬間、ヒーラーは戦士ではなく夜天の姿に戻った。
…信じて待っていてくれるかもしれない。
もし、他の男を好きになっていたら…きっと僕は君を拐ってしまう。
「だって、いつか言ってたよね。君を幸せにできるのは僕しかいないんでしょ?美奈…」
そして、夜天はそっと夜空に手を伸ばす。
この手の温もりが美奈子と交じ合う事を願って。
「だから、願わくはそれまで泣き虫な君が幸せでありますよう…星に願いを。」
「あ、また流れた!」
夏の始まりの気怠い夜、美奈子が窓辺で夜空を見上げていると先程から何度も流れ星が目の前を過ぎる。
流れ星を見ると嫌でも彼のことを思い出す。
まぁ、忘れられた日など一年前のあの日から一日だってないのだけれど。
「会いたいなぁ…」
そう小さく呟く言葉は、夏特有の湿った風に流されて夜空に消えて行った。
彼らと別れて寂しいのは自分だけじゃない…うさぎと亜美だってそのはずだ。
だから、普段は口には出さないように元気に振る舞ってるけど…アルテミスもいない一人の夜にこうして夜空を眺めているとふいに口を突く…
「夜天くん…」
ねぇ…貴方は今何してるの?
復興が上手く行って笑顔でいてくれたらいいな。
少しだけはあたしのことを思い出してくれてたりするといいな。
あたし、頑張ってるよ?
笑顔でいるよ?貴方が笑顔のあたしが好きって言ってくれたから。
でもね…
でも…
「やっぱり…寂しいよぉ…夜天くん…っ」
美奈子の涙が手の甲を濡らした時、ふいに机に置いてあった携帯電話のアラーム音が部屋に響いた。
「えっ?!なにっ??」
慌てて携帯を開き時間を確認してみると時刻は7/7の0時を示している。
「…七夕…?でも、この日に設定なんてしてないわよ?んー??あ…」
そのまま暫し携帯とにらめっこしていると、一通のメールを受信した。
送り主は…
「夜…天…くん…?」
驚きつつも震える手でメールを開いてみると、送信側の日付は彼が地球を立つ日の朝を示していた。
いわゆる"お預かりメール"というやつだろう。
そして…
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From:夜天くん
Subject:美奈へ
こんばんわ。美奈。驚いた?元気にしてる?僕がいなくて泣いてない?
ねぇ、美奈。もし君が今泣いてるなら…夜空を見上げて。
僕と君の星は気が遠くなる程離れているけど…手を伸ばせば、きっとぬくもりは伝わるって僕は信じてるよ。
ねぇ…どうして僕がこの七夕の日を選んだか分かる?
僕たちは織姫と彦星みたいに一年に一度の逢瀬もできないけど…それでも広い宇宙の中で繋がってるから。
織姫と彦星より強い絆でさ。
いつか必ず会いに行くから…それまで僕の大好きな笑顔の美奈でいてほしい。
愛してるよ、美奈。
-END-
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ぽたっ
ぽた…
涙で画面が滲んで見えない。
先程止まったはずの涙は、雫になって携帯電話の画面を濡らす。
止めどなく溢れる涙を美奈子は止めようともせずに携帯を胸に抱き、ゆっくりと窓辺に足を進める。
そして、開け放たれた窓から夜空に手を伸ばしそっと瞳を閉じた。
途方もなく広い空。
無限に広がる大宇宙。
だけど、夜空は同じ。
きっと彼も同じ夜空を見ていると願って…この視線の先が交差すると信じて。
寂しいけど
苦しいけど
だけど
信じて待てる。
心から人を愛する"勇気"も
過去から抜け出す"強さも"
全部教えてくれたのは貴方だから。
かけがえのない恋人。
「だから…願わくは…いつかまた会える日まで、夜天くんが笑顔で幸せでありますように…どうか星に願いを…」
End,
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